70% 30% [参考]

『CFOの挑戦-最高財務責任者が担うコーポレートガバナンスと企業価値創造』 >藤田純孝/ダイヤモンド社

・コーポレートガバナンスの目的は、「株主のみならず、その他のステークホルダーの利益も念頭に置いて、企業が健全に企業価値の向上に向けて長期的に持続し、成長する仕組み・経営構造を作ること」といえる。

・米国の考え方は、経営者をして企業価値の極大化に向かわせること、粉飾などの不祥事から企業資産を守ること、少数株主の利益保護などがベースにあり、それが米国のコーポレートガバナンスの特徴であるといえる。

・オムロンCFOの仕事:(1)グループ・ガバナンスの再構築。(2)企業価値の向上を脅かすリスクマネジメントの徹底。

・オムロンの経営力発揮の仕組みの一つに「グローバル・タテヨコ経営」がある。タテは事業部、ヨコは機能部門である。中央集権制、事業部制、カンパニー制、持ち株会社制など、グループ経営構造にはいろいろあり、それぞれにメリット・デメリットがあるが、オムロンでは一部の分社とカンパニー制を維持しながら、そのデメリットを最小限にするため、この「タテヨコ経営」を推進している。

・正確なところはわからないが、おそらく70%ぐらいを従来型の業務に、残りの30%をCFOおよびCFO組織としての時間、すなわちビジネス・マネジメントに充てているのではないだろうか。こういう時間の使い方ではCFO本来の役割を果たせるはずがなく、今後は何としてでもこれを逆転させたいところである。(シェアード・サービスやアウトソーシングの活用)

・連結経営とは単に会計を連結させるだけでなく、企業責任その他をすべて連結させるのだ。そのためには、子会社の業務や会計などの情報が親会社に上がってくるような仕組みをつくらなければならない。その際、特に重要なのがCFOの役割で、親会社のCFOは親会社だけを見ていればいいのではなく、子会社の経営内容をも把握していなければならないわけで、子会社のCFOに定期的にレポートを提出させたりするのは当然のことである。

・CFOは事業の継続に人一倍敏感でなければならない。もちろん、敏感であるだけでなく、日ごろからリスクをマネジメントし、そのために組織を統合していくことが必要なのはいうまでもない。

・リスク対策でもう一つ大切なことがある。何らかのリスクが発生した場合のディスクロージャーである。できるものなら隠しておきたい、内々で処理したいという心理が働くのはある意味、当然かもしれない。しかし、情報を開示しないことへのペナルティが今後一層大きなものになるのは確実で、隠そうとすればするほど窮地に追い込まれることになると心得るべきである。

・確たるリスク、確たる不祥事が発生したときには、まずオープンにすること、これが基本である。ただし、何でもかんでもオープンにすればいいというものではなく、オープンにする必要のない情報までオープンにすることはない。そのへんの判断が実に難しいところなのだが、オープンにするかどうかを判断する能力、これもまたCFOに求められる大切な能力であり、オープンにするか否かはCFOの判断一つにかかっている、といっても差し支えない。

・「経理の乱れは経営の乱れに通じる。経理は経営の羅針盤の役割を果たせ」 パナソニックの大番頭・高橋荒太郎の言葉

・価格決定は本来、ファイナンスが関わるべき重要な仕事の一つであり、その意味からもCFOが価格設定プロセスに参画するのは当然のことといえるだろう。

・タックス・プランニングの手法には、各国の税率の差を利用する方法、課税を繰り延べる方法、損益を通算する方法などがあり、取引形態や組織形態と照らし合わせながらより有効な手法を選択することが望まれる。CFOにとって大事なのは税金を正しく支払う姿勢とともに、タックス・プランニングの方向性を明確に示すことである。

・近年とりわけ意識されるようになってきたものに、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)というのがある。これは、仕入れから販売に伴う現金回収までの日数を測る指標であり、日数が少ないほど資金繰りがいいということになる。アメリカではこのCCCを経営力があるかないかを測る経営指標としても使っているが、日本ではあまりなじみがなかった。

・グローバル企業が増えたいま、国境をまたいだシステムやプロセスを構築していかなければならない。

・安易にアウトソーシングを導入すると、かえって高くつく可能性があるので注意が必要だ。なぜなら、シェアード・サービス同様、アウトソーシングにはマネジメント能力が求められるからで、単純業務だから外部に委託すればそれでOK、共通業務だから1カ所にまとめればOK、というわけでは決してない。外部に委託したり1カ所に集中させたあと、いかにきちんとした管理ができるか、いかに支援ができるか、これが問われるのであって、そのスキルがなければ、コスト削減のつもりで導入しても、逆に高くつくことだって十分あり得る。

・OJTはもはや時代遅れの教育システムである。なぜなら、OJTは年功序列制の上でこそ成り立つ教育システムであるからだ。実力主義や成果主義の下では、新入社員といえども、将来のライバルである。そのライバルに長年培ってきたノウハウを喜んで教えようとする人がいるのかどうか。それを考えれば、時代にマッチしない教育システムであることが容易に理解できるであろう。

・日本企業に求められているのは、時代の変化に即応するダイナミックな自己変革力である。にもかかわらず、十年一日の如くOJTを繰り返していたら、新しいものは何一つ生まれてこない。OJTは手っとり早い教育法ではある。だが、ダイナミックに進化する芽を摘み取ってしまう危険性を内包していることをしっかりと認識しておくべきであろう。

・「日本の経理・財務には大きく分けて3つの役割があります。1つ目の役割は、仕事(事業)に参画し、それをバックアップすることです。経理・財務は、たとえ直接的に事業に参画できなくても、それに携わる部門や人のご苦労を慮ることができるのです。2つ目の役割は、仕事(事業)が得てきた財産を守ること(財産保全)です。そして3つ目の役割は、世界中の経済・金融・経営のワクチンとなることです。会社の経営者の目標はただ1つ。”コンプライアンスを守りつつ、最高の利益を上げることである” この内容は、(1)自由9に対して自己規律1の精神を持ち、(2)経済と経営が人間(ひと)を幸せにする状態になるために、リスクを排除しつつ利益を上げる会社にする、ということです。これら3つの使命を果たすことで人間(ひと)を幸せにできるのです。日本の経理・財務は世界中の人間を幸せにするワクチンであると私は考えています」 信越化学工業顧問・金子昭氏の言葉。『経理・財務これでわかった!世の中を幸せにする日本流の考え方とは?』より。

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人材は性格 について [参考]

『ビジョナリーカンパニー2・飛躍の法則』 >ジェームズ・C・コリンズ/日経BP社

・偉大な企業への飛躍を導いた指導者は、まずはじめに、適切な人をバスに乗せ、不適切な人をバスから降ろし、つぎにどこに向かうべきかを決めている。

・この章の要点は適切な人材を集めることだけではない。「だれを選ぶか」をまず決めて、その後に「何をすべきか」を決める。ビジョンも、戦略も、戦術も、組織構造も、技術も、「だれを選ぶか」を決めた後に考える。「だれを選ぶか」をまず決めて、その後に「何をすべきか」を決める。この原則を厳格に一貫して適用する。

・比較対象企業は、「一人の天才を一千人で支える」方式をとっている場合が多い。天才的な指導者がビジョンを確立し、ビジョンを実現するために有能な兵士を集める方式である。この方式は天才が退けば崩れる。

・飛躍を導いた指導者は、人事の決定に厳格であって冷酷ではない。業績向上の主な戦略としてレイオフやリストラを使うことはない。比較対象企業はレイオフをはるかに頻繁に使っている。

・人事の決定で厳格になるための実際的な方法を3つ見つけ出した。

(1)疑問があれば採用せず、人材を探し続ける(関連する点として、成長の最大のボトルネックは何よりも、適切な人びとを採用し維持する能力である)。

(2)人を入れ換える必要があることが分かれば、行動する(関連する点として、まず、坐っている席が悪いだけなのかを確認する)。

(3)最高の人材は最高の機会の追求にあて、最大の問題の解決にはあてない(関連する点として、問題の部門を売却する決定をくだしたとき、優秀な人たちを一緒に売り渡してはいけない)。

・偉大な企業への飛躍を導いた経営陣は、最善の答えを探し出すために活発に議論し、方針が決まれば、自分が担当する部門の利害を越えて、決定を全面的に支持する人たちで構成されている。

・経営陣の報酬と飛躍とを結び付けるような一貫したパターンは発見できなかった。報酬制度の目的は、不適切な人びとから正しい行動を引き出すことにはなく、適切な人をバスに乗せ、その後もバスに乗りつづけてもらうことにある。

・「人材こそがもっとも重要な資産だ」という格言は間違っている。人材は最重要の資産ではない。適切な人材こそがもっとも重要な資産なのだ。

・どういう人が「適切な人材」なのかは、専門知識、学歴、業務経験より、性格と基礎的能力によって決まる。
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